信者が目覚めるとき

昨日、平田オリザ氏の本を読んでいた。
氏の著作は『演劇入門』や『話し言葉の日本語』を既に読んでいる。
                       
その二作品から、平田氏が自分と同年代なのに
日本語への探究心や世相に対する洞察に対して感銘を受けていた。
                         
10年以上前に雑誌で連載していたものをまとめたエッセイ集なんだけれど、
「あっ、こんなもんかな」と思う箇所が多々あった。
                        
「こんなもんかな」というのは、世の中の事件などに対して
分析したり批判したりという平田氏の意見を読んだときの、自分の感情。
                         
批判するときは特に、平田氏の論の進め方が腑に落ちない。
なんか順序だっていないような気がする。
比喩も本当かどうかあやしいような気がする。
「気がする」レベルだから、それに対して確証があるわけではないのだけれど。
                     
政治問題や社会問題に対して、氏は専門家ではない。
だから、その方面の事柄について、
表層的なことしか平田氏から出てこないのはしょうがないこと。
                       
それなのに、何かひとつのことに感銘を受けたりすると、
ついついその人のことを崇めたり信じ込んでしまう。
そして、同年代の男として自分とのギャップにコンプレックスを感じていた。
まるっきり、自分の身勝手なんだけれど。
                                    
そんなふうに平田氏を捉えていたときに、
氏の的外れな意見を読むにつけて、気が楽になった。
                    
でも、話しの進め方は面白いので、
そっちの方はしっかり見習わなければならない。