通常の常識っていうものを徹底的にあらう

北折一氏と糸井氏の対談は、
自分の仕事にも応用できそうなことが盛りだくさんの内容だ。
北折がNHKという縛りのきつい組織の中で、
どのように知恵を絞りながらTV番組を制作しているか、
舞台裏のことを具体例を混ぜながら説明くれている。
                        
  結局ぼくたちがやってることで、「ガッテンまでしてもらう」ってときには、
  あ、こういうふうに考えればよかったんだとか、
  こういうふうにものの見方の角度を変えれば
  よかったんだっていうことが起こったときにガッテンガッテン!なんです。
  つまり、これまでの常識がかわらないといけない。
  で、それからすると、考え方の方法論っていうのは1つなんですよ。
  それは何かっていったら、
  通常の常識っていうものを徹底的にあらうっていうことですね。
  ですから、みなさんは普通にこうやってるでしょ、ところが──、
  っていうようなところを、とにかく探していって、それのいくつかのうちで、
  ここだったらいけるってところに思いっきり特化していくっていうことから
  すべて考えてるんですね。
  そうやって、最終到達点を見つけて、
  で、あとは、結論からの逆算で組み立てます。
  ある○○作用っていうもので説明がつくとわかったときに
  そこへ向かっていくルートっていうのは、
  スタート地点から向かっていくんじゃなくて
  ゴールから、戻っていく感じで、すべてそうやってつくってるんですね。
  よくね、ぼくたちの中では、「落とし穴理論」って言ってるんですけど、
  思いっきりガッテン、ガッテンしてもらうことは、
  ぼくたちの用意した落とし穴にはまってもらったっていう考え方なんですね。
  落とし穴をつくったときには、やっぱり、ここを歩いてる人に
  この穴にはまってもらうためにどうしたらいいかっていうのは、
  やっぱり、穴から逆算して、こう...
  (通行止めをつくって)あっちへ行っちゃわないようにするために
  どうしたらいいかっていうことです。
  ここに穴があるから、それができるわけですから。
  そういうふうに考えて、やってます。
                       
最終到達点を見つけて、そこから逆算でルートを作っていく、という。
                        
自己啓発本によくあるような、「目標を決めて」とか「期限を区切って」
と同じことと思って読んでいたが、この原稿を書くにあたって
読み直したら、自己啓発本でよくあるような、
自分の尻に鞭を打つような意味合いではないことを知った。
                   
北折氏が番組を制作するとき、最初に
「通常の常識っていうものを徹底的にあらう」
そこから、
「ここだったらいけるってところに思いっきり特化していく」
つまり、いろいろでてきたネタに対して
最初に思いっきりゴシゴシ洗って汚れを落としている。
きっとこの時点でボツになったネタもたくさんあったと思う。
その洗いきったネタだけ、最終到達点を付加している。
                  
「目標」の安売りが目立つ自己啓発本とは違う。
やっぱり、目に見えない部分の精神的な修練ってのを
くぐり抜けて来ているんだね、ヒット商品って。