物語を組み立てて謎解きをする
『たけしアート☆ビート』(NHK)を見た。
取り上げたのは、ニューヨークに住むタップダンスの神様。
無名のアーティストを取り上げるコーナーが、番組の途中にはさんである。
毛糸の編み物で何でも包み込んでしまうという、
ニューヨーク在住のアーティストを紹介していた。
家の中の壁も家具も、人間も全部編み物の模様に包まれてしまい、
パッと見には一つ一つの物体の外観が見分けられない。
番組では、毛糸に包んだ自動車やバイクを路上駐車して路行く人に気づいてもらったり、
編み物スーツに身を包んだスーツで道路を歩いて、注目を浴びたりしている
シーンを映していた。
その映像を見た宮田亮平氏(東京芸術大学学長)とたけし氏のコメント。
「包み込むことによって、見えない部分を見る人に想像させところがいい。」
「見る人間が、自分の都合に合わせて勝手に物語をつくる」
人は、見えない部分を勝手に想像する。
何でもオープンにしない。何でも講釈しない。何でも解説しない。
勘違いや誤解されるかもしれないけれど、
相手が想像できる部分を残しておく。
人は、何かを理解しようとするとき、
それぞれの中で物語を組み立てて謎解きをしながら迷宮の中に入って行くから。