中枢神経をどうやって狂わせるか

スタジオジブリ鈴木俊夫氏と糸井氏の対談。
                  
  糸井 観てるうちに、セリフにクラクラさせられる。
     「今言ったことはなんだっけ?」
     と考えて、やっとわかったときには、
     また違うことが耳に入ってくる。
  鈴木 それって、映画の基本なんですよ。
     宮崎駿だって同じなんです。
     観客の中枢神経をどうやって狂わせるか、
     っていうのがテーマなんです、やっぱり。
             
「観客の中枢神経を狂わす。」って、どういう意味だろう。
単にテクニック的なことを話し合っているとは思えない。
かといって、「観客が感動する」原理を作動させることでもないだろうし。
                 
この会話のあと、
                          
  鈴木 時間と空間を歪めるっていうのは、日本の大きな特質で。
     少し専門的な話なんですけど、実は押井さんの映画だろうが、
     宮崎駿の映画だろうが、日本のアニメには、
     あるひとつの、大きな特徴があるんです。
     レンズが、真ん中は標準レンズなのに、
     まわりにいくにしたがって広角レンズになる。
     だから、西欧人が観たときに、
     日本の絵やアニメのレイアウトってヘンなんです。
     歪んでいるけど、まんなかだけ普通なんですから。
     マトリックスを作った方たちは、
     何に着目したかっていったら、その「歪み」で。
                   
今まで、マンガの中の空間が歪んでいるなんて気にしたことがなかったけれど
それは、日本人だからだったんだ。
文化のちがう人が見ると、おかしな世界だったんだ。
                      
でも、目から入る情報って取捨選択して必要なモノだけを取り入れているから
瞬間瞬間で前後の辻褄が合わなくても、些細なことだったら「イイじゃん」って
思ってしまうけれど。

それを当たり前と思わずに、
「おかしい」「どうしておかしいのか?」って
発想していく人が、ヒット作品を作れるのかな?