「面白い」ネタがいっぱいないといけないんです
松田哲夫氏と糸井氏との対談から。
糸井 分類したり、研究したりしていくことで
つなぎを取ってしまうのかもしれない。
松田 昔から、マーケットリサーチだの仕掛けだの
言ったりしますが、そういうことじゃないと思います。
糸井 おもしろくないことってどうやったってばれるんです。
「○○というテーマで何とかできるな」というように、戦略的に考えても、
自分をわくわくさせるキーワードが出るまでは
そのままにしておけばいいと思うんですよ。
みんなが「○○いいよねー」って言い出すと
理性で「行ける」ゴーサインを出しちゃうけど、あたたまってないなら
「○○は後にしておいて、いまはこれやろうよ」と言えばいい。
ただ、そう言うにはネタがいっぱいないといけないんです。
ネタがないとつい「○○使おうか」ということになって、失敗する。
松田 おなじことを逆でも言えて、
「○○はだめだよ」と言われても、おもしろければいいんです。
さっき話した『ちくま文学の森』だって、編集会議の時点から
めちゃくちゃおもしろかったんです。
こんなにおもしろいなら、このおもしろさは伝わるはずだ、と思いました。
それは路上観察でも同じこと。ぼくらが楽しくやっていれば、
「何だろう?」と思って覗こうと思う人がいるわけです。
だから、どんな仕事でも、おもしろくなくちゃあだめだと思います。
糸井 私と仕事を分けろっていうけど、
1本の映画を見たことが仕事の役に立つか立たないかなんてことは
誰にも決められないわけです。
仕事はそういうことに支えられているから、
私的なところが輝いていない人を職場に欲しいかと言えば、そうじゃないです。
キーワードは「面白い」。
「面白い」と思えるようになるまで、寝かしておく。
「 ただ、そう言うにはネタがいっぱいないといけないんです。
ネタがないとつい「○○使おうか」ということになって、失敗する。」
やっぱネタだよな。
何か始めようとするには、豊富なネタが必要なんだ。
でも、ネタって見方次第。
豊富な経験、特異な体験や、こだわりの強い世界観などなくても、
身の周りのことをどう観るか、切り口が新鮮だったら面白い。
ただ単にぼけーっと眺めるのではなく、
周りを見直してみると、新しい「面白い」がたくさん発見できるかもしれない。