できることを、きちんとこなす

「ほぼ日」の、「『はたらきたい。』の哲学と実学」から。
                   
  糸井 だれか、こういうことやればいいのにって思ったことを、
      やる人がいないからってぼくがやることになったという例が、
      けっこう多いんです。
      今やってる『ほぼ日刊イトイ新聞』も、そうですし。
  糸井 ほんとに「スキル」で採らなければならないときって、
      そこが欠点だということですからね、会社の。
  柳瀬 そこに穴が空いてる、と。
  糸井 うん、そして、組織の弱点なんていうものが、
      だれかひとりのちからで埋められるとも思えないし。
  柳瀬 もっと構造的な問題ですね。
  糸井 ぼくたち、ふつうの人間というものはできるに決まってることでも
      できないくらいだと思ったほうがいいんですよ。
      逆に言えば、自分ができる精一杯のことを
      ごまかさずに、きちんとできるってことは、
      ある意味、本当にすごいことなんですよね。
      なにより、まわりの人に「約束できる」じゃないですか。
      チームの仲間にも、お客さんにも‥‥
      約束したことを、きちんと守り続けてる人って、
      ほんとうのちからがついてくる。
      つまり、人の進化っていうのは
      「右肩あがり」の「ななめグラフ」じゃなくて、
      らせん構造、スパイラルなんですよ。
      自分ができるだけのことを
      きちんきちんとやってこれたら、ちょっとずつ‥‥。
      その人は、ちからを、つけていきますよね。
      あらゆる社長が、言うじゃないですか。
      自分でじゃ何もできないんで、できる人を集めたって。
      あれって謙虚なんじゃなく、たぶんホントなんですよ。
                   
できることを、きちんとこなす。
           
大きいこと、目立つこと、派手なこと、そんなことに人の目は行きがち。
確かにスケールの大きいことを為すのは、困難を伴うし、立派だと思う。
                     
でも、小さいことをコツコツと続ける大事さを忘れてはいけない。
なんでもない、平凡な日常の連続。

目立つことや派手なことは、チヤホヤされやすいから、
地味なことに取り組んでいる人間は、どうしても目移りしてしまう。

でも、人にはそれぞれ役割がある。
大事を為すために努力する、チャレンジするのは賞賛すべきだが、
だからといって、日に当たらないような小さいことを
コツコツ続けていることをバカにしてはならない。
もちろん、地味だからといって自分の仕事に手抜きをしてはいけない。