どこかに余白がないと疲れてしまいます
『無名の頃』の中の、鈴木一誌のインタビューから。
自分は、装丁家じゃなく、中身までやるブックデザイナーっていうのが
信条でしたから。
辞書や辞典の仕事もたくさんしてきました。
辞書や辞典って、余白1ミリ単位での戦いなんですよ。
そんな小さいことは無駄だって言われるかもしれないし、
そのぶん情報を入れたほうがいいって思うかもしれないけど、
どこかに余白がないと読み手が疲れてしまいます。
だから、ページ内のいろいろな箇所から0.1ミリずつかき集めてきて、
なんとかスペースをつくるんです。
余白のある生き方。
現代人は、それとは逆行した生き方をしている。
時間でも空間でも、空白があると、
「もったいない」という気持ちが湧いてくる。
そして、ついつい詰め込んでしまいがち。
「効率的に」「有意義な活用」などのことばに捉われて、
気づくと、あれもこれもとがめつくなっている。
秒刻みの慌しさ。
慌しい生活に伴う、大量のモノの消費。
「どこかに余白がないと読み手が疲れてしまいます」
これは、読書だけに限ったことではない。
余白がない生活は疲れてしまう。
「余白」は、現代では入手困難なモノなのだろうか。