共感

『共感力』(平野秀典)を買った。
平野氏の著作を読んだのは、何ヶ月ぶりだろう。1年以上経つか?
以前は、氏の
  「皆さん、皆さんに必要なのは感動ですよ〜。
   1にも2にも感動。3,4がなくて、5に感動。」
というような感動宗教の教祖みたいで、
しばらくは気持ちが受け付けなかった。


でも、久々に読んでみたら、勉強になる記述がたくさんあった。


  世間では、しきりに「マーケットイン」の発想が
  もてはやされていました。
  「これからは、プロダクトアウトではなく
  マーケットインの思想に変えていかなければいけない」
  しかし、お客様のニーズという
  「不足しているものを満たすという満足」を目標とするのでは、
  感動は絶対に生まれない。


  マーケットインの発想で、
  ユーザーの言うことばかり聞いていたたり、
  不満を解消するものばかり作っていると、
  どのメーカーも結局同じものを作ってしまい、
  新しいものは生まれなくなります。



  今こそ『プロダクトアウト』の時代。
  もちろん、ユーザーを無視したプロダクトアウトでは話になりません。
  ユーザーの感覚や意見をあくまで情報として
  インプットし(マーケットイン)、
  それに対してどんな独創的なアイデアや技術でアウトプット
  (プロダクトアウト)するかが勝負だということ。


マーケットインの発想には、一時ずいぶんはまっていたが、
最近なにか違和感を感じていた。


商売をする上では、
本来、売り手であったり、表現者であったりする
自分が居なければならないはずだ。


どうも、「顧客がいれば、商品がなくても営業はできる。」
という言い方に惑わされて、顧客第一主義にのめりこんでいたようだ。


もちろん、受け手である顧客は絶対に必要なのだけれど、
ちまたの顧客第一主義発想、顧客視点主義は、
顧客が主役で、舞台上には顧客しか演者がいない、
売り手は裏方スタッフのような扱いの理論ばかりのような気がする。


本当は、彼らが言っている中にも、
売り手と買い手との間をつなぐ、「信頼」や「信用」は、
ことばになっていなくても存在していたはず。


「説得」するのではなく、「納得」してもらう。
その時、売り手と買い手の両方が商品を通じて
共感したときに感動が生まれる。