決裁は自分

糸井氏が、就職論で、河野晴樹氏との対談時に
仕事について、こんなことを言っている。


  自分のうえのほうになにか違うルールがある、
  なんて思って仕事をしているあいだは、やっぱり、苦しいんですよ。
  ウチの会社のやつらがおもしろがって仕事してるのって、
  結局、自己決裁してるからなんですね。


  アイディアに詰まったり、本当に困ったとき、僕のところに来るわけで、
  決裁は自分たちでやっているんです。
  だから、結局のところフリーで仕事している部分と、
  チームで仕事してる部分、その両方をやっているような感じ。


  そういう仕組みを作ってしまったら、社員が持っている能力って
  結構フル回転できちゃうんですね。
  そして、そのほうが会社全体としてもありがたいでしょう


転職を繰り返していたとき、
会社の方針とかに従わなければならなくて、
自分の意思が入り込むことのできない行動をせざるを得ないということ、
また、上の者が責任を取らないということに対して、息苦しくなっていた。


「自分の考えたとおりに行動したい。」


残された手段が、退職という”逃げ道”しかなかった。


でも独立したら今度は、組織の陰に隠れることができないという、
過酷な環境に適応できなかった。


なんだかんだ言っても、
今までは都合よく、会社のせいにして、
責任から逃れていた部分が多かったということを、辞めてから知った。


自分で考えて決めて、仕事をしたい。
失敗したら、素直に謝りたい。もちろん、うまくいったらほめられたい。


でも、自分ひとりではやりきれない。
誰か、師匠が欲しい。仲間が欲しい。
でも、師匠も仲間も、自分自身が魅力を発していないと近くに来ない。


ガムシャラに努力をするとか、
常に研究をするとか、ひたむきな姿勢とかが必要だったのに、
近道ばかりをさがしていた。そして、一歩も踏み出さなかった。


結局、自分はいつの間にか「成功」ではなく、「保障」を求めるようになっていた。
それって、会社にしがみついているだけの人間と一緒だ。
今まで、自分が一番嫌っていたタイプなのに。


河野晴樹氏が就職面接で聞くという
「今まで大切にしてきたことって何ですか?」を、
もっともっと、自分自身に問いたださなければ、
このジレンマからは抜け出せそうにない。