『カンディンスキーと青騎士』展

先日行ってきた、『カンディンスキー青騎士』展について。


まず、展覧会そのものについての評価。
  conpositionなどの大作が無く、
  主役がいない、脇役ばかりの展覧会だった。
  出展数も多くはない。
  それでいて入場料1400円は高い。
  ブラタモリでも紹介された明治時代の空気が漂う、
  歴史的な建物、三菱一号館という建物も
  含めての展示だと思い込まなければ、
  納得できない内容だった。


展示作品の中に、町並みを写生した絵があった。
写実的な風景だったので、
「これは、カンディンスキーではないな」と思い、
説明書きを見たら、
 「ガブリエーレ・ミュンター <窓からの眺め、セーヴル> 」
とあった。
ガブリエーレ・ミュンターは、カンディンスキーの愛人。


初期のカンディンスキーは、風景画を描いていた。
今回の展覧会にも、数点出ていた。
しかし、カンディンスキーの絵には奥行きがない。
色の濃淡で、遠近を分けているが、
油彩がほとんどなので、水彩画のような
霞む遠くに吸い込まれるような感じがない。


ミュンターの<窓からの眺め、セーヴル>を見ていて、
なぜ、この絵の奥行きに魅入らされてしまうのか、考えた。


見つけた答えは、
作者が見つめていた焦点が一点なのだということ。
ミュンターは、きっと絵の中で真ん中に描かれた家を見ていた筈だ。


だから、その周りの家や手前の木などはすべて、
その時のミュンターにとって、背景でしかない。


作者の意識は、一つのものにしか注げないのだ。


私は、何か描くとき、
すべてを忠実に写生しなければいけないと考えがちになる。
ついつい、一部分に拘ったバランスの悪い絵になったり、
一生懸命描いた力作のはずが、引いて見てみると
ゴチャゴチャしたよくわからない構図になってたりする。


視点をキチッと決めないでいきなり描き出すから、
訳のわからない絵が出来上がる。


視点を定める訓練をしないと、
他の人にスンナリと理解してもらえない。