顔が広いということ

『芸術脳』(茂木健一郎)の中の、佐藤雅彦氏との対談で、
佐藤氏が、人脈について述べている。


佐藤氏は電通の中では、あまり顔が広い方ではなかったと言う。
でも、「ステュディオス」(熱中)状態を知っている者のつながりでいい作品ができた。


「顔が広い方」だけの人間は、作品をコーディネートだけで仕事を済ます、と断じる。
コーディネートだけの作品には、既存の価値を組み合わせただけだから、
そこには「アハ(気づき)体験」も「ステュディオス」状態もない。
コーディネートという手法だけで、ある程度のことができちゃうから、
それだけを平気でやっている人が多い、と批判的だ。


佐藤氏は、人脈について、完全に否定しているわけではない。
人脈だけに頼っただけの人間が嫌いなだけ。
本当に分かり合える仲間がいれば十分で、たくさんの知り合いは必要ない。


ビジネス書を読んでいると、人脈作りの大切さを説く成功者によく出くわす。
そんな本ばかり読んでいると、いつの間にか、人脈作りが目的になってしまう。
さらには、名刺を配ることだけに熱中してしまう。


大事な出会いなんて、そんなに多くはないはず。
名刺を配るよりも、自分自身を磨くことに精を出さなければ、
自分にとって本当に必要な人にも出会うことができない。