極論
『ぼくたちの洗脳社会』(岡田斗司夫)、何回読んでも面白い。
文庫本を図書館から借りたまま、更新し続けている。
いっそのこと、中古をアマゾンで購入しようかと思い、検索したら
ハードカバーで1000円、文庫本で500円から売りに出されていた。
手元の文庫本を見たら定価560円+税。
人気本の絶版モノは結構値くずれしないんだ。
で、その本の中で岡田氏は、これからは洗脳競争の社会だから、
企業は機能絶対主義の考え方を捨て、洗脳商品を売らなければならない、と言う。
そこで、受ける洗脳商品を例示している。
「 一つ目は用途が限定されていて、分かりやすいことです。
刃物より包丁、包丁よりパン切り包丁の方が、何に使うか分かりやすいわけです。同じ
ように価値観やイメージも極端で、ある場面でしか使えないけれど、その分単純で分か
りやすい方が消費しやすいといえます。
人生論より恋愛論、恋愛論より失恋論、失恋論より離婚女の世界観の方が、より専門化
され、利用しやすくなっています。
また、分かりやすいためには極論が必要です。・・・・・・・「決めつけ」と「勢い」
が必要です。この極論が問題を分りやすくすると同時に、専門化させるわけです。
二つ目はキャラクター、つまりその価値観をだれが提唱しているかです。
近代では、大手メーカーの売っている電化製品は、三流メーカーのものより高くても売
れました。洗脳社会においては、離婚女の世界観は見ず知らずのエッセイストが書くよ
りも、先日離婚した有名な女性キャスターが書いたものの方が圧倒的に支持されます。
逆に、身近な友達が考えた価値観を取り入れるというようなことはほとんどしません。
だいたい自分で価値観をつくる人などほとんどいないでしょう。 」
専門に特化すること、具体例を提示することは、散々言われている。
しかし、消費しやすくするために専門化しなさい、
消費者に分りやすくするために具体例を提示しなさい、
と述べるコンサルタントはいなかったような気がする。
そして、「分かりやすいためには極論が必要」と言う。
ああ、今まで自分が感化されたビジネス書の書き手ってほとんど極論家だったような。。
神田昌典氏など、最近は悟りの境地から述べたような言説だけれど、
デビューしたてのころは結構極論を述べて、読者をグイグイ引っ張ってきた。
個人的には同調できないが、『ドラゴン桜』の著者、三田紀房氏は完全な極論家だ。
自分の考えを漫画のキャラクターに言わせて、世論や巷の常識をバッサバッサと斬っていく。
三田氏言っていることがすべて正しいとは思わないが、実に分かりやすい。
曖昧にしていないから批判もしやすい。
また、『ドラゴン桜』では、目標を東大一本にしている。
早稲田や慶応、国公立などとは書かない。有名大学とも書かない。
分かりやすいテーマ。単純明快。
「わかりやすく」
わかっているようで、ついついややこしくしてしまう。
極めつけてしまうことが怖いから。
批判されることを恐れているから。