『知的プロフェッショナルへの戦略』を読んで

『知的プロフェッショナルへの戦略』は、田坂広志氏の数ある著作の中で初めて読んだ本だ。
ブックオフで105円で購入。それまで、田坂氏のことを知らなかったから、期待をしていなかったが、今までモヤモヤしていた世界を、端的な言葉で示してくれた、自分にとってかけがえのない一冊になるであろう。


とくに、
  「インターネットによって、知識の流通革命が起きている。」
  「”Middleman will die(中間業者は不要になる)”は、流通革命の鉄則である。」
  「今の世の中で「知的産業」と思われている人々の多くが、実は、単なる「知識の」
  伝達と流通で仕事をしている」
との記述は、ショックだった。


今まで仕事をしていて、すっきりしない不安な気持ち、他人に褒められても満足できない気持ち、常につきまとっていた劣等感など、自分ではことばにならなかったことを、実にわかりやすいことばで表現してくれた。


「ああ、自分は今まで、”知識の流通業者”だったんだ。だから、いつも仕事の報酬は、時間単価の手間賃しかもらえなかったんだ。」納得してしまった。


以前読んだ神田昌典氏の『全脳思考』で、
「インターネットによって情報は、水道の蛇口をひねるようなものになってしまった。」
というようなことを書いてあったが、それを読んだときは、自分の発信する情報を、価値あるものにすればいいんだな、と思ったレベルであった。


しかし、田坂氏の発言によれば、それだけではダメである。(別に、神田氏の言っていることが間違っているわけではない。私の読み込みが足りないだけだ。)


「知識は陳腐化する。」
つまり、今、何か新しい見地のことを言っても、すぐに皆に真似されてしまう。
ただの”知識”は一過性のものであり、誰が発言しても同じものである。
”知識”は、世に行き渡ったらもう用済み。
そのとき、他との差別化するものは発言した人のパーソナリティ(人格)である。それは、経験だったり、将来への夢、世界観など。
少々遠回りかもしれないが、人格を磨くことの重要性は、今後どう変化するか予測できない世界で、いつでも通用する不変の法則である。