明るい方向に導く

『ネットビジネスの終わり』(山本一郎)を読んだ。
                     
ネットの出現で「情報革命」が叫ばれ、
多種多様なネットビジネスが出現したかと思えばいろんな理由で消えていった。
ネットバブルがはじけ、新しいタイプのベンチャー企業
ここ10年、出現していないという。
                
その一方で、既存のビジネス(特にコンテンツビジネス)の収益が
インターネットによって、どんどん切り崩されていると解説する。
しかし、その分のお金が、新しいネット関連企業に廻っている訳ではない。
                       
この著者の分析は一々正しい。でも、何かスンナリこない。
なぜか?
                    
ことばになって出てきたのは
「この著者は、いろいろと批判するだけで、明るい内容がひとつもない。」
                 
こんなことをやって楽しんでいる企業がある、いうような巷の頑張り屋さんの紹介もないし、
先行き不透明の世の中だから、こういう方向に活路を見出しましょう、というような示唆もない。
                    
誰かが一生懸命コツコツやっていても、
大手資本なんかが津波のごとくガバッーとさらってってしまいますよ、
というようなことを述べているだけにしか思えない。
                
だから、読んだ後に空しさしか感じない。
                    
もちろん、読んだだけで世の中が見渡せるとか、未来が読めるようになるとか
安易な気持ちでいるのではない。
正しい道を指し示してくれる人を期待しているわけでもない。
                   
だから、何かしら明るい方向に読者を導こうという気持ちが、
この著者にあってもいいのではないか、と思う。
たとえ、それが狭い道であっても。