時代に支配的だったイデオロギーの犠牲者
『下流志向』(内田樹)を読んでいたら、ニートについて言及があった。
ニート問題の最大の難関は、ニートたちが子どものころから
一貫して経済合理性に基づいて価値判断を下してきて、
その結果、無業者であることを選んだ。
ライブドアの堀江前社長は一時期ニートを含む若年層に圧倒的な人気を博しました。
どうして、無業者である若者たちが、
天と地ほど生活水準の違うIT社長に共感の拍手を送るのか。
彼が体現していたのは、「最も少ない労働で、最も多くの利益を出すこと」
「最も少ない努力で、最も多い成果を出すこと」を最高善とする思想です。
当時、ホリエモンが突拍子もない行動に出て、世間を騒がせるのは生来の性分だとしても、
なぜ、世の人々が彼に対してエールを送るのかがわからなかった。
メディアがさんざん持ち上げていた「古い価値観の破壊者」なんてのは、
自分にとって、イライラする原因でしかなかった。
なぜ、金の亡者を皆応援したがるのだろう。
内田氏の分析が、正しいとは断言できないけれど、
ホリエモン人気の理由がやっとわかった。
彼ら(ホリエモン信者)は、自分とは価値基準がまるで違うんだ。
そして、生まれた時代、少年期をすごした時代が違うから、
そのギャップはしょうがないんだ。
内田氏が、以下のように述べている。
ニートがニートになったのは自己責任ではなく、
「ある時代に支配的だったイデオロギーの犠牲者」であるという考え方を
納税者が受け入れる必要がある。
「ある時代に支配的だったイデオロギーの犠牲者」
ニートに限らず、自分についても、
少年時代や青春時代を支配していたイデオロギーに洗脳されているんだな、
って気づかされる場面がある。
結局、自分のような凡人は、その時その時を支配するイデオロギーに流されてしまう。