「正解がわからないけれど解答できる」能力
『合気道とラグビーを貫くもの』(内田樹・平尾剛)で、
スポーツの指導法について、常識を一蹴するようなことを述べている。
いろんなことを言っちゃって混乱させるというのは、けっこう効率的な指導法ですね。
「単一の正解がある」というふうに思わせるのがいちばんいけない。
最終的には、マニュアルもガイドラインもないところで、
瞬間的に判断しなくちゃいけないわけだから、
「正解を知っているので解答できる」能力よりも、
「正解がわからないけれど解答できる」能力の方がたいせつになる。
その場合は何をもって判断するか。
「何をもって」と言ったって、なにしろ判断基準がないんだ。でも、判断基準がないときに
瞬時に判断することができないと武道的には使いものにはならない。
初心者のうちはみんな「こうすればこうなる」「こう来たら、こう返す」という、
一対一な正解を覚えようとしますね。
これって、学習試験の対策でも言われていることだ。
試験の出題範囲を網羅的にカバーしようとしても、人間の記憶容量ではとうてい及ばない。
そこで求められるのが、試験問題の中に埋もれているヒントを手がかりに
答えを推理していく能力だ。
わかっていないレベルだと、学習していてもついつい、見える箇所だけを見て
「こうすればこうなる」「こう来たら、こう返す」という上辺だけの真似をしがち。
でも、そのように練習したパターン通りには、現実はやってこない。
もっと、問題の仕組みとか原因とかを知って、カラダに染み込ませておかないと、
「正解がわからないけれど解答できる」ようにはならない。