「ほかになんにもないから」

またまた「ほぼ日」での白岩玄氏と糸井重里氏との対談から。
                   
  糸井 あの、たとえばね、青山とか渋谷とかをずっと歩いてるとね、
      いま、どんどんレストランが潰れていってるんですよ。
      もう、笑っちゃうくらい、店が閉まってる。
      で、そういう店を見ながらよく行く蕎麦屋に入ったんですけどね、
      その店は、お客さんがいないころもあったけど、
      潰れなかったんですよ、けっきょく。
      で、なにが違うのかなぁと考えたんですけど、ひとつわかったのは、
      「これで食っていけるぞ」とか
      「これやったら儲かるぞ」とか
      「こうしたらお客さんが来るぞ」とか
      そういう理由ではじめた人たちの店は潰れるんですよ。
      一方で、ほかになんにもなくってその店をやってる人っていうのは、
      味が悪かろうが、お客さんが来なかろうが、潰さないんです。
      ぼくのよく行くその蕎麦屋はお客さんが来るようになったんですけど、
      仮にあの店が、お客さんが来ないままだったとしても、
      たぶん、借金くらいはするかもしれないけど、
      とにかくなんとか我慢して、なんとかなるまでやると思うんですよ。
  白岩 ああ、その根本的な違い。
  糸井 うん。「お前、食えてんの?」っていうタイプのことじゃなくって、
     「ほかになんにもないから、オレ、これやってるよ」っていうのは
     潰さないでいるんですよね。
          
「儲かりそうだから」
「流行ってそうだから」
「かっこよさそおうだから」          
そんな気持ちで、就職先を探していないか?
                            
どんな職業を選んでも、「ほかになんにもないから」という覚悟があるか?
                   
現代は、覚悟の程を試される時代。